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M&Aの案件はどこで探す?案件ソーシングの方法
スモールM&A入門

M&Aの案件はどこで探す?案件ソーシングの方法

13分

案件探しがM&Aの成否を決める

M&Aを成功させるために最も重要な工程は何か。デューデリジェンスでも価格交渉でもありません。案件探し、つまりソーシングです。

どれだけ交渉力があっても、そもそも良い案件に出会えなければ話が始まらない。逆に、自分の目的に合った案件を見つけることができれば、M&Aの成功確率は一気に上がります。

2025年の日本のM&A件数は5,115件。市場は拡大を続けていますが、良い案件には複数の買い手が殺到する。案件の探し方を知っているかどうかで、アクセスできる案件の質と量が大きく変わります。

ルート1: マッチングプラットフォーム

個人や中小企業のM&Aで最も手軽に使えるのが、オンラインのマッチングプラットフォームです。

BATONZ。日本M&Aセンターグループが運営する国内最大級のプラットフォーム。累計成約件数でNo.1を誇り、登録買い手候補は26万者以上。常時7,000件以上の売却案件が掲載されており、毎月400件以上の新着案件が追加されます。買い手登録は無料で、成約時に手数料が発生する仕組みです。

TRANBI。ユーザー数15万人超を抱える大手プラットフォーム。買い手が自分で交渉を進めるセルフ型の自由度が特徴です。予算0円からの検索にも対応しており、小規模案件にも強い。

その他のプラットフォーム。M&Aクラウド、SPEED M&A、ラッコM&Aなど、特定の業種や規模に特化したプラットフォームも増えています。Webサイトやアプリの売買に特化したサービスもある。

マッチングプラットフォームのメリットは、案件を自分で自由に検索できること、費用が成功報酬型で初期費用がかからないこと、24時間いつでもアクセスできること。デメリットは、情報の精度にばらつきがあること、人気案件には買い手が殺到すること、売り手が情報を正確に開示していない場合があることです。

ルート2: M&A仲介会社

仲介会社は、売り手と買い手の間に入って交渉をまとめるプロです。

大手のM&A仲介会社は年商1億円以上の中堅企業を主な対象としており、最低報酬が500万円から2,000万円に設定されていることが多い。個人や小規模M&Aには使いにくい。

一方、スモールM&Aに特化した仲介会社やアドバイザーも存在します。報酬が100万から300万円の価格帯で、数百万から数千万円規模の案件を扱っている。地域密着型の会計事務所がM&A仲介を兼務しているケースもあります。

仲介会社のメリットは、売り手とのリレーションがあるためプラットフォームに出回らない非公開案件を持っていること。デメリットは、手数料が高いこと、仲介会社の利益が成約に紐づくため「とにかく成約させたい」というバイアスがかかる可能性があることです。

仲介会社を使う場合は、利益相反のリスクを理解した上で、自分の立場に立ってくれるFA型のアドバイザーも選択肢に入れてください。

ルート3: 金融機関

取引のある銀行や信用金庫から案件を紹介してもらうルートです。

金融機関は融資先企業の経営状況を把握しているため、後継者問題を抱えている企業の情報を持っている。特に地域金融機関は、地元の中小企業との関係が深く、プラットフォームに出回る前の案件情報にアクセスできることがあります。

メリットは、金融機関が間に入ることで信頼性が高まること、融資と案件紹介をセットで相談できること。デメリットは、金融機関のM&A部門が扱う案件は限られていること、紹介される案件が融資先に偏る傾向があることです。

メインバンクに「M&Aに興味がある」と伝えておくだけで、案件が回ってくることがあります。直接的なコストもかからないので、情報源として活用しない手はない。

ルート4: 事業承継・引継ぎ支援センター

全国47都道府県に設置されている公的な相談窓口です。中小企業庁の委託事業として運営されており、相談は無料。

令和6年度の相談者数は23,000者を超え、第三者承継の成約件数は2,132件で過去最多を更新しました。累計の成約件数は12,000件を超えています。

後継者人材バンクという仕組みもあり、個人の買い手候補と後継者不在の企業をマッチングしてくれる。令和6年度の成約は106件。件数は少ないものの、公的機関のため仲介手数料が不要か、低額で済むケースが多い。

メリットは、無料で相談できること、公的機関なので中立的なアドバイスが得られること、地域の案件に強いこと。デメリットは、案件の規模が小さいものが中心であること、マッチングのスピードがプラットフォームより遅いことです。

初めてM&Aに取り組む人は、まずここに相談してみるのがよい。M&Aの進め方や注意点について無料でレクチャーを受けられます。

ルート5: 直接アプローチ

自分で候補企業を見つけて直接コンタクトする方法です。

ターゲットの業種や地域を絞り、経営者が高齢で後継者がいなさそうな企業に手紙を送る。商工会議所のイベントで経営者と名刺交換する。業界の集まりで情報を集める。泥臭い方法ですが、競合がいない分、良い条件で交渉できる可能性がある。

メリットは、他の買い手と競合しないこと、仲介手数料がかからないこと。デメリットは、時間と手間がかかること、経営者の反応が読めないこと、相手にM&Aの意思がなければ空振りに終わることです。

直接アプローチは上級者向けの手法ですが、特定の業種や地域に強いこだわりがある場合には有効です。

5つのルートの比較

ルート手軽さ案件数コストおすすめの場面
マッチングPF高い多い成功報酬型初めてのM&A、幅広く探したい
仲介会社中程度中程度高い数千万円以上の案件
金融機関低い少ないなし融資も含めて相談したい
支援センター高い少ないなし初めてのM&A、地域の案件
直接アプローチ低い限定的なし特定の業種に絞りたい

おすすめの組み合わせは、マッチングプラットフォームを2つから3つ登録してメインの案件探しに使いつつ、支援センターに相談して公的なサポートを受ける形です。金融機関への声がけも並行して行えば、案件情報の入口は十分に広がります。

ノンネームシートの読み方

マッチングプラットフォームや仲介会社から最初に提示される情報は、ノンネームシートです。社名を伏せた状態で事業の概要を記載したもので、ここで案件の大まかな良し悪しを判断します。

チェックすべきポイントは5つ。

売上と利益の推移。直近3期分の数字が載っていることが多い。売上が減少傾向なのか横ばいなのか、利益率はどの程度かを確認する。

譲渡理由。後継者不在なのか、体調不良なのか、事業の選択と集中なのか。理由によって案件のリスクが変わる。「事業不振」と書いてある案件は要注意ですが、不振の原因が買い手の力で解決可能なものなら逆にチャンスです。

従業員数と平均年齢。従業員が高齢化している場合、引き継ぎ後に人材の確保が課題になる。

希望価格。相場と比較して高すぎないか。スモールM&Aの場合、年間利益の2倍から5倍が譲渡価格の目安です。

売り手の関与期間。引き継ぎ後に売り手がどのくらいサポートしてくれるか。引き継ぎ期間が短いと、ノウハウの移転が不十分になるリスクがある。

良い案件の見分け方

最後に、良い案件を見分けるための判断基準をまとめます。

良い案件とは、高い利益率の事業という意味ではありません。自分の目的に合っていて、リスクが許容範囲内にあり、かつ買収後に自分の力で価値を高められる事業のことです。

見るべきは3つ。事業が特定の個人に依存していないか。顧客が特定の1社に偏っていないか。業界が構造的に縮小していないか。

この3つをクリアしている案件なら、現時点の利益が低くても改善の余地がある。案件探しは時間がかかりますが、焦って妥協するよりも、じっくり選んだほうが結果的にうまくいきます。

よくある質問

M&Aの案件探しにかかる期間はどれくらいですか?
案件を探し始めてから良い案件に出会うまで、平均で1か月から3か月です。ただし条件を絞りすぎると半年以上かかることもあります。BATONZでは成約までの平均期間が約3か月ですが、案件探しだけでなく交渉やDDの期間も含んだ数字です。焦らず複数の案件を比較検討してください。
個人でもM&A仲介会社は使えますか?
使えますが、大手仲介会社は最低報酬が500万円から2,000万円に設定されていることが多く、数百万円規模のスモールM&Aには向きません。個人や小規模案件に特化した仲介会社やマッチングプラットフォームを選ぶべきです。BATONZやTRANBIなら買い手の登録は無料で、手数料も成約時のみ発生する成功報酬型です。
ノンネームシートとは何ですか?
ノンネームシートとは、売り手企業の概要を社名や所在地を伏せた状態でまとめた資料です。業種、売上規模、従業員数、譲渡理由、希望価格などが記載されます。買い手はこの情報をもとに案件の概要を把握し、詳細を知りたい場合に秘密保持契約を結んだ上で企業名が開示されます。
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