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副業M&Aのリアル:会社員が事業を買って運営する方法
スモールM&A入門

副業M&Aのリアル:会社員が事業を買って運営する方法

10分

副業M&Aとは何か

副業M&Aとは、会社員として本業を続けながら、M&Aで事業を取得して副業として運営することです。

「副業」と聞くと、クラウドソーシングやアフィリエイト、せどりを思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、すでに売上と顧客基盤がある事業を丸ごと買い取るという選択肢が、ここ数年で急速に広がっています。

BATONZの成約データによると、買い手の約4割が会社員です。全員が脱サラするわけではなく、本業を続けたまま事業を運営している人が相当数います。

副業に向いている事業、向いていない事業

すべての事業が副業向きというわけではありません。本業がある以上、平日の日中にフルタイムで動けないという制約があります。

副業に向いている事業

Webメディアやアフィリエイトサイト: 記事の更新やSEO対策は夜間や休日に対応可能。月商10〜50万円規模のサイトが100〜300万円で売りに出ていることも珍しくありません。

ECサイト(在庫を持たないモデル): ドロップシッピングやプリントオンデマンドなど、在庫管理や発送を外注できるEC。受注処理と顧客対応がメイン業務になるため、1日1〜2時間で回せるケースが多い。

SaaS・サブスクリプション型サービス: 月額課金モデルは収益が安定しており、カスタマーサポートを仕組み化すれば少ない稼働で運営できます。ただし開発やメンテナンスのスキルが必要になるため、エンジニア経験者向けです。

コインランドリーや自動販売機などの無人ビジネス: 設備投資は大きいものの、日常の運営工数は極めて少ない。週末の巡回とメンテナンスで十分なケースがほとんどです。

副業に向いていない事業

飲食店や店舗型サービス: 営業時間中に現場にいる必要がある事業は、会社員の副業には不向きです。管理者を雇って任せる方法もありますが、人件費で利益が吹き飛ぶリスクがあります。

属人性の高いコンサルティングやスクール: 自分自身が商品のような事業は、本業との両立が極めて困難です。

BtoB営業が必要な事業: 平日の日中にクライアントとの打ち合わせが発生する事業は、会社員の副業としては成立しにくい。

就業規則と法的リスク

副業M&Aで最初に確認すべきは、自分の勤務先の就業規則です。

2018年に厚生労働省がモデル就業規則を改定し、副業・兼業を原則容認する方針に転換しました。しかし実態としては、まだ副業を制限している企業も少なくない。特に金融機関や公務員は規制が厳しいため、注意が必要です。

確認すべきポイントは3つ。

  • 副業そのものが禁止されていないか
  • 競業避止義務(本業と同じ業界での副業を禁じるルール)に抵触しないか
  • 届出制になっている場合、どのような手続きが必要か

「黙ってやればバレない」と考える人もいますが、確定申告の住民税を普通徴収にし忘れて勤務先に通知が届いたり、取引先経由で情報が伝わったりするケースは実際にあります。リスクを抱えるよりも、事前に話を通しておく方が結果的に良い判断です。

副業M&Aの収支モデル

具体的な数字で見てみましょう。

ケース1: アフィリエイトサイトの買収

項目金額
譲渡価格150万円
PF手数料7.5万円
月間売上8万円
月間経費(サーバー、ドメイン、外注ライター)2万円
月間利益6万円
投資回収期間約26ヶ月

週5〜8時間の稼働で月6万円の副収入。年間72万円の利益を見込めます。ただしGoogleのアルゴリズム変動でアクセスが急減するリスクは常にあるため、記事の品質管理と流入元の分散が課題になるでしょう。

ケース2: 小規模ECサイトの買収

項目金額
譲渡価格400万円
PF手数料20万円
DD費用20万円
月間売上50万円
月間経費(仕入れ、配送、広告、ツール)38万円
月間利益12万円
投資回収期間約37ヶ月

週10〜15時間の稼働で月12万円。年間144万円の利益です。在庫管理と発送を外注すれば稼働を抑えられますが、その分だけ経費が増えるトレードオフがあります。

本業との両立で工夫していること

副業で事業を運営している買い手に共通する工夫があります。

朝の1時間と夜の1時間をルーティン化: 受注処理、メール返信、売上確認を朝と夜に分けて行い、突発的な対応が必要なもの以外は日中に手を付けない。

外注できるタスクは早めに出す: 記事作成、発送業務、顧客対応の一次窓口など、自分がやらなくても回る業務は積極的にアウトソースする。月2〜5万円の外注費で稼働時間を半減できるなら、十分な投資です。

KPIを3つ以内に絞る: 副業で時間が限られる中、あれもこれも追いかけると疲弊します。月間売上、利益率、リピート率など、最も重要な指標を3つ決めて、そこだけを見る運用にしている人が多い。

副業M&Aの出口戦略

買った事業は、将来的に3つの方向に進むことになります。

運営を続けて副収入を得続ける: 最も多いパターン。安定した事業であれば、年間数十万〜百万円以上の副収入を継続的に得られます。

成長させて売却する: 買収後にテコ入れして事業価値を高め、数年後により高い価格で売却するという戦略もあります。150万円で買ったサイトを3年で月間利益2倍に成長させ、400万円で売却、というケースは珍しくない。

脱サラして本業にする: 副業として回してみて事業の実態を把握した上で、独立を決断する。いきなり脱サラするよりもはるかにリスクが低い独立の仕方です。

どの道に進むにせよ、副業M&Aは「時間とお金を投資して資産を築く」行為です。配当のある株式投資に近い性質を持ちつつ、自分の手で事業を育てる面白さがある。不動産投資とも株式投資とも異なる、会社員ならではの資産形成の手段として、検討する価値は十分にあるでしょう。

よくある質問

副業禁止の会社でもM&Aはできますか?
法律上、副業を全面禁止することは原則できません。ただし就業規則で制限している企業は多いため、事前に人事部門へ確認してください。事業の運営を家族名義で行ったり、法人を設立して役員報酬を受け取る形にするケースもありますが、トラブルの原因になるため推奨しません。まずは正面から相談することが最善です。
副業M&Aの失敗で借金を抱えるリスクはありますか?
事業譲渡の場合、買収した事業の負債を引き継がない形で契約を結べます。融資を利用した場合は返済義務が発生しますが、自己資金の範囲内で買収すれば、最悪でも投資額を失うだけです。ただし個人保証付きの融資を受けた場合は、事業が失敗しても返済義務が残ります。
副業M&Aで年間いくらくらい稼げますか?
案件によりますが、300〜500万円の事業を買収した場合、年間利益50〜150万円が現実的なレンジです。月に換算すると4〜12万円。大きく稼げるわけではありませんが、本業の給与に加えて安定した副収入を得る手段としては有力です。
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